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画像コラム・画検新聞

シャッター方式の違いが
画像処理検査に与える影響とは?
~グローバルシャッターとローリングシャッター~

デジタルカメラ、そしてカメラ付き携帯電話の普及に伴い、カメラ撮影の機会は、民間用途、産業用途ともに飛躍的に増大しました。この流れに常に伴走してきたのが技術の進歩で、昨今ではスマートフォンのカメラだけで撮影が行われた映画作品も発表されるなど、一見して民生品と産業品との差は小さくなっているように思われます。
この傍らで、デジタルカメラ技術の進歩とともに発展した画像処理検査の分野では、産業用カメラが通例です。例えばここに、より安価なスマートフォンやドライブレコーダー、Webカメラなどを代用するというアイデアは、いくら高画素でも実現は困難な状況にあります。その理由のひとつである、シャッター方式(ローリング式とグローバル式)の違いについて解説します。

ローリングシャッター方式とグローバルシャッター方式の違い

画像処理検査で用いられる産業用デジタルカメラでの撮像は、「露光時間」と「フレームレート」の調整を行った上で実行されます。この露光時間の調整、つまり、撮像素子への露光時間の長さを制御する方式として、ローリングシャッター(Rolling Shutter)方式とグローバルシャッター(Global Shutter)方式があります。民生用フィルムカメラの名残で「シャッター」と表現しますが、物理的な開閉装置が稼働しているわけではなく、撮像素子への記録を行うために対象である像を読み取る(スキャンする)方法を指します。
先に開発されたローリングシャッターは、画像をフレーム上部のピクセル行から順番に露光を行い、電荷に変換された電子を上の行から順番に走査して読み出す(図 1)もので、CMOS カメラの多くがこの方式を採用しています。

このような構造上、ローリングシャッターのカメラで撮像すると、一度の撮像でもフレーム内の上部と下部とでタイミングが異なることとなり、撮像対象が高速で移動している場合には取得された画像に歪みが発生するという特徴を持ちます(図2)。

図1 ローリングシャッター方式の撮影方式

図2 ローリングシャッター方式で撮影



これに対し後発のグローバルシャッターでは、フレームの全領域、全てのピクセルを同時にまとめて露光と読み出しを行う(図3)もので、構造上、部分読み出しができないCCDカメラと、一部のCMOSカメラでこの方式を採用しています。

グローバル方式の場合、ローリング方式のように部位によって撮像タイミングが異なることはないため、露光時間とフレームレートの設定が対象に応じて正しくなされていれば、移動体であっても像が歪むことはありません(図4)。

図3 グローバルシャッター方式の撮影方式

図4 グローバルシャッター方式で撮影

撮像素子とシャッター方式

撮像素子(イメージセンサ)とは、レンズから入ってきた光を電気信号に変換する部品のことです。旧来のフィルムに相当する部分で、仕組みの違いからCCDとCMOSの2種類があります。

>CCDとCMOS~カメラの進歩を支える撮像素子

前述のような事情から、対象が高速で移動したり、振動していたりする生産ライン上で稼働することの多い画像処理検査においては、グローバルシャッター方式のカメラがより好まれる傾向にあります。
また、CMOS素子は全画素の読み出しも部分読み出しも可能であるという特徴を持つため、CMOSカメラの中にはローリング式/グローバル式の切り替え可能なものもあります。実際にグローバル式のCMOS素子カメラは、検査用途として多くの製造現場で採用されています。
一方で、ローリングシャッター方式のカメラは単純な構造のため生産時のコストを抑制でき、かつ素子そのものも比較的安価であることから、コストパフォーマンスの良さをメリットとして挙げることができます。市販の携帯電話やWebカメラ、ドライブレコーダーなどで使用されるカメラにこのタイプのものが多い理由のひとつとなっています。
反対に、これら安価な撮像素子に比べ、産業用のものには画素欠陥が少ないものが選定されているため、ノイズが少なく精度の高い画像が取得できるという特徴もあります。

安価なカメラでも画像処理検査は可能か?

お手持ちのスマートフォンなどで撮影した画像でも明らかなように、シャッター方式上避けられない歪みに対してもソフトウェア補正がなされ、初めから歪みなどなかったかのような画像が生成されたり、画素欠陥が補完されていたり、また読み込みを超高速化することで歪みそのものを回避する方法であったり、昨今のカメラ技術の進歩には目覚ましいものがあります。
しかしながら、上記のような補正が行われるということは、何かしらの情報が操作されることを意味します。画像処理検査においては、そもそも「生」の情報を取得しないことには「検査」が成立しません。例えば、長さや寸法の相対関係が実物と異なってしまったり、微小な欠陥や細い線が補正により画像上消えてしまったりなど、検出されるべきものが正しく検出されない事態は検査として致命的。不良品の流出を防ぐための検査が、逆に、流出を招く要因となってしまいかねません。
以上のように画像処理の世界では、発展の陰にある変わらぬ価値にも目をむける必要があります。しかしここは、専門性の高い領域。だからこそ最適な光学系機器選定の際には、画像処理検査のエキスパートへのご相談をお勧めします。

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