画像処理検査装置・外観検査装置のヴィスコ・テクノロジーズ

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画像コラム・画検新聞

進化する3D検査

高精度・高速・低コストに高さを見る方法

外観検査における3D活用がブームの兆しを見せる。これまではその速度や精度、さらには複雑なシステムや価格が忌避され定着せずいたが、PC処理能力やカメラ転送速度の向上を背景に、一気に実現可能なものへと近づいた。だが、依然としてユーザー要求とのギャップは否めない。それを埋めるのが、下例のようなアイデアと応用技術を駆使した、既存のラインへの組込みも容易な新しい技術である。今号は画像処理検査の新機軸と期待される3D技術に迫る。

ヴィスコ・テクノロジーズ社が提案する「3Dプリズム検査」

ユーザーの求める速度・精度・使い勝手・価格に見合う3D検査技術はまだ豊富とは言えない現状にある中、同社が提案するこの方式であれば、プリズムによる3方向からの画角を1枚の画像として撮像することで高速化を実現。取得した画像には一般の検査ツール(コネクタリード検査Ⅱなど)を用い、コネクタピンの真位置度と長さ(高さ)の検査を一度に実行可能となる。撮像と処理時間を合わせても、オンラインでの導入を十分に想定できる速度であろう。

導入の際には、照明など光学機器の調整を必要としないモジュール型装置(OIM = Optical Inspection Module)を採用することで、立ち上げ工数の低減と、検査精度の安定化も図ることができる。

これは、「画像一筋」を掲げるヴィスコ・テクノロジーズ社ならではの高い応用技術と、現場主義が成し得たユーザーフレンドリーな手法といえよう。

3D計測技術の紹介

3D(3次元)計測手法はかねてより研究が進められており、用途に応じた様々な活用方法があります。この中で大きく分けると接触式と非接触式とがあり、近寄ることや触れることができない物でも測定可能なことから、非接触式には多くの活用事例が見られます。以下に非接触方式、とりわけ光学式計測法として代表的な5つを紹介。

1.二眼ステレオ方式

この方式は、カメラを移動、または2台用いて異なる位置から撮像し、その視差画像から対応点を探索し、三角測量にて高さを求めます。

対応点は、一方の画像の一部を取り出し、もう一方の画像の最も類似している領域を探索する「ブロックマッチング」などにより求められます。類似度の評価には正規化相関などが用いられます。

精度の良い高さ情報を得るためには、対応点を精度よく密に求めることが重要となります。

最も簡単な平行ステレオの場合、カメラから対応点までの距離(奥行)z、視差d、カメラ間距離b、焦点距離f を用い、以下の式で求められます。

二眼ステレオ方式は安価で比較的高速に計測することができるものの、各カメラでの対象物の見え方が異なり、対応点を正確に求めることが出来ない事、また、テクスチャのない位置では対応点が求まらず、計測することが出来ないというデメリットがあります。

2.光切断法

光切断法とは、ライン光を対象物に投影し、カメラで撮像する方法。

撮像されるライン光は対象物の高さに応じてy方向に変化するため、この変化量Δyとライン光源とカメラの位置関係を用いて対象物の高さを求めることが出来ます。対象物全体を計測するには、対象物を移動させるか、ライン光源を動かす方法が用いられます。

図の構成では、以下の式により高さzを求めることが出来ます。

光切断法は二眼ステレオ方式に比べると、精度が良くテクスチャがない対象物でも計測する事ができますが、1ラインずつ計測するため低速となります。

3.位相シフト法

対象物に対してプロジェクタ等でサイン波を位相をずらしながら投影し、複数回撮像して得られる画像の輝度変化から位相を求める方法。

この位相と、カメラとプロジェクタの位置関係から3次元座標を求めます。この方法は最小3枚の位相シフトされた画像があればよいですが、簡単な計算式で位相を求めることが出来る4枚の画像を用いた4ステップ法が最もよく用いられています。

4ステップ法では0,π/2,π,3π/2の位相を用いて、ある画素における4枚の画像の輝度をI0,I1,I2,I3とすると、位相φは以下の式によって求められます。

この方法は、光切断法よりも精度が良く高速に計測できますが、高価になる傾向があります。

4.白色干渉法

光源からの白色光をビームスプリッタにより分割し、一方を参照ミラーに、もう一方を対象物に照射する方法。

参照ミラーに反射した光は常に同じ光路長となりますが、対象物に照射した光は、対象物表面の高さに応じて光路長が変化します。

この異なる光路長の光が再結合した際に「干渉縞」が生じます。この特性を利用し、高さ方向に移動して対象物との距離を変えながら干渉縞の変化を撮影し、干渉縞の強度が最大になる位置を各画素で計測することで、対象物の高さを計測することが出来ます。

白色干渉法は、高さ方向に移動する必要があるため計測速度が遅く、主に顕微鏡で利用されています。

5.共焦点法

共焦点光学系では、対物レンズの焦点位置と共役な位置にピンホールを配置し、点光源(一般的にレーザー)から対象物の一点に照射する方法。

焦点位置以外の反射光はピンホールでカットされ、焦点位置のみの情報が得られます。このため、画像化するには二次元走査する必要があります。

3D 計測は、対象物と対物レンズを高さ方向に相対的に移動させ、輝度が最大になった位置を記録する事により行います。

共焦点法は、高精度に三次元計測をすることが可能ですが、二次元走査し、更に高さ方向にも移動させる必要があるため、主に顕微鏡で利用されています。

※上記1 ~ 5 の順に精度は上がるが検査レンジが狭くなり、また処理の複雑さが増すことで速度は下がる傾向にある。

技術の進歩に比例し拡大する用途
高さ検査の需要満たす新しい潮流

活用進む3D画像処理技術の中で顕著なのが、FAロボットを用いたピッキング作業(下図A)や、実装基板や錠剤・顆粒の外観検査(同B、C)など、高さ情報が求められる市場だ。

どの方式も高さ情報を得るために複数画像の撮像と処理作業を必要とし、従来のカメラの取込速度とコンピュータ処理能力とでは間に合わず、一般的には3次元デジタイザ、画像解析計測ソフトウェアなどオフライン使用に限定されていた。それが近年の技術向上で、かねてからの構想が現実化して来たのだ。

例えば、ヴィスコ・テクノロジーズ社が提供する3D検査モジュールは比較的安価な二眼ステレオ方式を採用。表面凹凸でなく高さを計測する方式であることに加え、速度・精度ともに高い水準であるなど、ユーザー満足度が高い製品も登場している。

歩留まり向上と大幅な行程短縮化への貢献に大きな注目を集める当分野だが、今後は前述の市場以外の普及が期待される。メーカー各社は技術開発にしのぎを削るが、現場を想定した技術応用力と比例し、ユーザビリティに差が生じることになるであろう。

A:FAロボットを用いたピッキング作業

正しくピッキングを行なうには事前に対象物の重なりを除去し、ある程度整列させるための前工程機器が別途必要であったが、3Dヴィジョンシステムならこの工程が不要に。

B:実装基板のICリード浮き検査

実装基板上のICリードの高さ検査を行なうには、2Dでは上部からの平面情報しか得られず浮きの検出はできなかったが、3Dであれば一目瞭然。

C:錠剤の外観検査(欠け、打痕)

錠剤の形状欠陥、欠け等の検査を行なうには、2Dでは陰影により濃淡で判別を行なうが、これが欠けによるものなのか、単なる表面上の色濃淡なのかの判別は不可。3Dなら欠け部分の形状変化を検出可能。

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